ウルファート・ジャンセン Ulfert Janssen

Asymptote (第1回 ECA展 出展作品)
Asymptote (アスィムトウト:漸近線)とは、ギリシャ語 “asumptōtos” に由来する、「関連する要素が限りなく接近するが、1 つになることはなく、別々に無限に向かっている」という概念を表します。 本三部作は、「水」と「火」の関係性を漸近線としてとらえ、この現象が、私たちの住む現代社会でも起きていることを表現するものです。 急速な気候変動によって水位の上がった海、炭化した木、そして2者を中央で分断する裂け目は、私たちの美しい自然環境に脅威が近づいていることを示しています。それらは異なるレベルに浮かび、水と火という2つの要素間の対話を引き裂く緊張を生み出します。 本作品では、一対として表現することが困難な二つの要素を結びつけることによって、「水」と「火」という二つの相反する要素が、1+1=3 という矛盾語法で表現されるような、新たな共生に入ることを表現しています。
Material: アクリル、酸化鉄、炭化木
Size: H 1000 x W 800 mm

ウルファート・ジャンセン Ulfert Janssen
Artist Statement
私の作品は、異なる世界のコントラストと融合を大きなテーマとしています。私の作品の特徴である、酸化鉄や炭化木を用いたキャンバスは、鉄や木という古代から伝わる素材に、「水、時間、火」という自然の要素を加えることによって、自然の偉大な力や、時の流れを表現しています。この独自のキャンバスに、モダンで鮮やかな色彩で大胆な構図のモチーフを重ねることで、一見相反するものが融合し、素材と形状の対話が起こり、プロポーション、色、質感との組み合わせ、対比が生まれ、物語がつむがれます。これらの調和のとれた矛盾は、相反するものが互いに反発する必要はなく、まったく新しくて魅力的なものを惹きつけ、創造することができることを表現しています。
私の作品は、自然の偉大な力、人間の深い内面世界、さまざまな要素の対比と融合に焦点を当てています。そこでは、古風な美学から生まれた力を持つイメージやオブジェクトが浮かび上がり、現代的なテーマを表現する要素と相まって、深い内省を促すことを意図しています。私自身のカラフルでコスモポリタンなバックグラウンドを活かして、作品の中でさまざまな世界をひとつにまとめる独創的なアプローチを生み出していくことが、私の終わりなき探究であり、創作の原動力です。
Biography
1972年ドイツ生まれ。12 歳から画家のBodo Olthoffに師事。1999年Art Center College of Designを卒業後10年間、芸術活動と並行して、ルノー・日産グループのカーデザイナーとして、バルセロナ、ソウル、東京でコンセプトカーや製品化モデルの開発を担当。2012年スイスに自身のスタジオを設立。コントラストと融合を大きなテーマにした絵画と彫刻を制作している。コスモポリタンなバックグラウンドと、多様な世界を結びつけるカラフルな探求心が反映された作品は、自身で開発した酸化鉄プレート、炭化させた木など、独自のキャンバスと鮮やかな色彩のコントラストを特徴としており、ドイツ・スイス・日本の個展・グループ展への出展、欧州パブリックアートコンテストへの参加など幅広く活動している。